TPP政府対策本部宛意見書を提出しました★




去る2013年6月17日、政府は各省庁からの推薦を受けた128の団体を集めて、TPP政府対策本部による非公開の「TPP協定交渉に係る意見提出等のための業界団体等への説明会」を行いました。

当初はマスコミにも非公開で、説明会に招待(?)された団体から「政府のアリバイ作りに使われるのはごめんだ」「これでは国民的議論とは到底言えない」「説明会は公開すべき」など、ありとあらゆる批判が集中し、説明会前々日になってプレスリリースが出され、意見募集も説明会に参加した団体だけでなく、添付書類を受け付けず、メール本文に記載するという制約もありながら、様々な団体からの意見を受け付けるということになりました。

政府に意見を言える機会を逃すわけにはいかない!

と言うわけで、私たちTPって何?も有志によるネット会議を経て、意見書を提出いたしました。
私たちの考える、極めて重要で、そしてもしこれを守ってくれたら、TPP交渉参加も(TPP協定参加とは別です!)怖くないかもしれないという提案を3つ厳選して提出しましたので、共感してくださる方はぜひ拡散のほどお願いいたします。

準備不足の政府の姿勢に不安が募るばかりです。


今回、説明会に出た方々からの情報によると、政府は説明会においてTPP協定交渉において攻めの姿勢で行くためには、それぞれの業界団体の知見が必要だから、何を攻めたらいいのか、関係国との貿易において何か非関税障壁だと言えるものがあったら教えてほしい、といった内容だったようです。

これを受けて、交渉で何を得られるかの調査が不十分で、取りあえず参加を決めてから、何を交渉で得るかを探るという姿勢が、これまでの説明と矛盾しているのではないかと、政府に対する批判は一層深まることになりました。


政府は国民を自由貿易に向けた尖兵にしてはならない。


何よりも私たちが問題だと感じたのは、政府が国民を使って、他国の国民の利益を撤廃させる作戦を執ったことです。例えば米国を攻めよう、となったときに「バイアメリカン法」は自由貿易に反するから廃止させようなどと提案したとします。でもちょっと待ってください。「バイアメリカン法」はいわば「地産地消」の取り組みではありませんか。外から際限なく物を買い入れて、消費しつくすことを見直し、内需を拡大しようとする動きです。応援すべき取り組みです。

それを、まずは国内でお金を回して内需を拡大し、デフレから脱却しようと言っている私たちに攻撃させようと言うのですか。

その手には乗りませんよ。

テーマは日本が本当にルールメイカーになるために。


さて、それではTPPって何?は何を訴えたのでしょうか。
百害あって一利なしのTPP協定参加。問題点を挙げればきりがありませんので、それは他の方々に譲り、最低限これだけはということに絞ることにしました。

日本政府はルールメイキングに加わりたいと言いました。
日本の国柄を守ると言いました。

であれば当然、少なくとも自民党の国民との約束である決議文に関しては一歩も譲らず、21世紀のアジアの貿易ルールを日本型のお互いを尊重し合い、国民の幸せを国益と捉えた互恵的な貿易交渉に導いてもらえるような要望がふさわしいと考えました。

以下、TPPって何?有志で提出した意見書を転載いたします。

2013年7月17日

Facebookグループ「TPPって何?」有志


(対象分野)分野横断的項目

TPP協定交渉及び非関税障壁に関する日米並行協議に関する採決における党議拘束の原則禁止を要求する。

 TPP協定交渉における問題の一つがその秘密性にある。政府アドバイザーと呼ばれる米国の多国籍企業(※1)や、国連開発計画(UNDP)などの第三者(※2)が交渉内容を知ることができるというのに、国民の代表である国会議員がその交渉内容を知ることすらできないという状況が、度重なる機密文書漏洩を生み、そのリーク内容が関係各国の国民をさらに不安にさせている。また、自民党の衆院選での公約の取り扱いにおいても、日本政府に対する国民の不信と混乱を招いている。

 特に、TPP協定交渉における国民の最大の懸念対象である「非関税措置の撤廃」に関しては、参院選における政府与党の公約は元より、各党の公約にも非関税措置に関する日米並行協議については全くと言っていいほど触れられていない。このままでは国民に広がる「関税交渉において優位を保つためという口実で、国内議論を経ずに非関税措置の撤廃を強行されかねない」との懸念が強まるばかりである。

 日米合意文書の中には「両国間でのTPP交渉の妥結までに取り組むことを確認するとともに,これらの非関税措置について達成される成果が,具体的かつ意味のあるものとなること,また,これらの成果が,法的拘束力を有する協定,書簡の交換,新たな又は改正された法令その他相互に合意する手段を通じて,両国についてTPP協定が発効する時点で実施される」(※3)とあり、非関税措置に関する並行協議の取り扱いが極めて不明瞭な状況である。

 また、自由貿易交渉においては、関税、非関税措置交渉は双務的でなければならないが、すでに自動車に関しての取り決めは片務的な条件になっている。工業製品では、多くの非関税障壁が米側にある。たとえばポンドヤード法の撤廃、UL安全規格のISO/IECへの統一、その他国際基準に合わない米国だけのルールを撤廃することが求められている。

 ところが、日本のTPP交渉参加に関するマランティス米通商代表代行発ベイナー米下院議長宛書簡(※4)には、「我々は,2013年4月12日に,日本との合意及び日本による行動の強固なパッケージをまとめ,これを発表した」とあり、一方的に日本が譲歩することを約束したような内容になっている。外務省が翻訳し発表した文書であるため、これを日本政府が把握していることは明らかだが、それを米国に抗議をした形跡はない。

 この状況は、合衆国憲法に規定された通商権限と、米国政府の関係が深く関与していると思われる。すなわち、現在大統領貿易促進権限(TPA)が失効しているために、大統領府が他国と交渉するのみで通商協定を結ぶ権限がないことから、例え事前協議と言えども何も約束することができないことに起因している。見方によってはTPP協定交渉自体が違憲であるという米国議員の声もあり、議会がTPAを付与するかどうかは予断を許さない状況である。

 万が一オバマ政権がTPAを取得できない場合、米国はTPPから撤退しなければならない。(※5)また、TPPは各国の思惑が複雑に絡み合っているために途中でとん挫する可能性も低くはない。このような事態に際し、日米並行協議は中止されるべきだと考えるが、政府は協議継続の可能性を否定していない。

 よって、「TPPって何?」は、日本政府に対し、非関税措置に関する日米並行協議の実施の際の手続きに、@)国会での採決を経ることを明確に規定すること、TPP協定交渉及び非関税措置に関する日米並行協議の進捗状況に関し、A)国民の代表である国会議員が十分に得られるようにすること、妥結後、批准に当たっては、B)TPP実施に当たって変更しなければならない国内法及び影響評価の公開を十分に行い、形式にとどまらない実質的な国民的議論を経ること、C)自由貿易の精神に照らし、国会での採決においては党議拘束を禁止し、それぞれの国会議員の自由な投票による採決を行うことを要求する。

≪TPPの危険性に警鐘を鳴らす有識者≫

ジョセフ・E・スティグリッツ教授(ノーベル経済学賞・ジョン・ベーツ・クラーク賞)

マハティール・ビン・モハマド(元マレーシア大統領)

※1 ロサ・デラウオ米国上院議員ウェブサイト

http://delauro.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=997%3Adelauro-miller-push-for-more-transparency-congressional-consultation-in-trade-negotiations1

※2 マレーシア通商産業省プレスリリース(2013年7月4日)

http://www.miti.gov.my/cms/content.jsp?id=com.tms.cms.article.Article_a732df6b-c0a8156f-72160910-4dc5af12

※3 『TPPに関する主要閣僚会議(第2回)』(資料2)平成25年4月12日(内閣官房TPP政府対策本部)

※4 『日本のTPP交渉参加に関するマランティス米通商代表代行発ベイナー米下院議長宛書簡(仮訳)』平成25年4月25日(外務省)

※5 4月24日上院財政委員会公聴会でのThune上院議員(共和)と Bahtia GE副社長(ブッシュ政権時USTRの次席代表)との質疑応答。

http://www.finance.senate.gov/hearings/hearing/?id=03508528-5056-a032-526a-67ec511d1ced

(対象分野)分野横断的項目:紛争解決/政府調達

TPP発効後の安全保障上必要な外国資本に対するTPP協定交渉参加各国の拒否権発動に関する条件を統一することを要求する。

 現在、日本国内において非関税措置の安全保障に資する影響評価は十分とは言えない。国防上重要な拠点、特に国民の生命に関わる水源地、離島、政府立地付近などの土地取得及び使用に関しては、国民の重大な関心事であるが、既にWTOで除外項目から外れているために現状資本の内外格差を設けることができない。

 また、水道事業や通信などのインフラを外資が管理した際、国民の為のサービスが損なわれ、生存・健康と権利が侵される危険も十分に検討されておらず、この分野は既に海外で発生している数々の問題を以て国民の不安をかき立てている。外資、多国籍企業は、国民と利益を共有せず、自社と投資家の利益のみを追求するのが自然だからである。国はこれを制限し、国益の為の調整をする義務がある。仮にこれをTPP協定参加により放棄することがあれば、国の責任放棄といえる。

 一方で、米国はOmnibus Trade and CompetitivenessAct第5021条(通称エクソン・フロリオ条項)、現「外国投資・国家安全保障法」という独自の安全弁を持ち、米国の安全保障に悪影響を与える買収を阻止する権限を持っている。しかし、この外国投資・国家安全保障法は、発動の条件が不透明で、米国に投資する際の障害となっている。(※6)

 さらに米国は全てのFTAにおいてTPAを取得している時点のFTAには1974年通商法102条を根拠とし、またTPAを持たずに行ったヨルダンとのFTA交渉では条文に直接盛り込む形でFTA実施法を制定し、予測し得ない国内法のFTA協定義務違反の発生を無効とする条文を盛り込んで国益を守っている。(※7)

 よって、「TPPって何?」はTPP締結国全ての、@)国家安全保障上重要な企業や土地の外国資本の売買に関する参加各国共通の規定、A)国家安全保障上重要な事項に関する政府調達における外国資本の入札の参加各国共通の条件を具体的に定め、B)必要によっては国内法、地方政府または地方自治体が定める条例、及び州法なども、安全保障上、基本的人権がTPP協定義務違反とならないよう、保護する例外規定を設けること、C)条約発効後においても、新技術の開発などによる不測の事態が国家安全保障を脅かす事態に自動的に国内法が無効とならずに再協議ができる条項を設定することを要求する。

 尚、「TPPって何?」は、日本政府がグローバル化は避けられないとし、“21世紀型”の自由貿易を標榜しながら、それに対応した“21世紀型”の国益を守るための国内法の整備を行っていないことも問題視している。企業が“20世紀型”の規制に不自由を感じ、それを撤廃したいと考えることは理解するが、同時に急速に発展した多国籍企業の活動から、基本的人権を守るための措置を制定することは、国家としての責務であり、早急な対応が望まれる。

 よって、「TPPって何?」は、TPP協定締結の如何に関わらず、基本的人権にかかわる上下水道、電力、ガスなどのエネルギー事業、国の基幹産業を定義し、また機密に関わる事項、自国で確保すべき技術について協議し、時代に即した措置を制定することを要求し、日本政府及び国会の早急な対応を期待する。

※6 米国における貿易・投資上の問題点と要望/1.外資参入規制(貿易・投資円滑化ビジネス評議会)

http://www.jmcti.org/cgibin/list_ind.cgi?Kind=Country&code=303&category=1

※7 米韓FTA条文に関して米国法と条約の関係について規定した部分
SEC. 102. RELATIONSHIP OF THE AGREEMENT TO UNITED STATES AND STATE LAW.

 (a)RELATIONSHIP OF AGREEMENT TO UNITED STATES LAW.—

 (1) UNITED STATES LAW TOPREVAIL IN CONFLICT.—No provision of the Agreement, nor the application of anysuch provision to any person or circumstance, which is inconsistent with any lawof the United States shall have effect.

 (2) CONSTRUCTION.—Nothing inthis Act shall be construed—

 (A) to amend or modify anylaw of the United States, or

 (B) to limit any authorityconferred under any law of the United States, unless specifically provided forin this Act.

(対象分野)金融・サービス

資源・穀物・エネルギーに関わる取引内容の公開を求める。

 TPP協定に参加した場合、日本の食糧自給率の大幅な低下が避けられないことは様々な試算により明らかである。また、企業が活動しやすい環境は同時に労働者の権利の縮小を意味し、所得格差は今後ますます拡大するものと予想される。一方で、資源・穀物・エネルギーの市場価格は、実際の需給との関係よりも、投機的な投資主体がどの形で資産を保有したいと考えるか、その思惑に左右されることが問題となってきている。

 このような状況下において、各国政府が投機的な動きに対して何の措置も講じないままに国内の一定の作物に対する自給率を著しく下げ、価格安定策の撤廃を行うことは、食糧価格暴騰時に自給手段を持たない国民の命を脅かす非常に無責任な行為であると言える。

 1999年11月のグラス・スティーガル法の廃止による金融規制の撤廃(※8)が近年の深刻な金融危機の引き金となったと考えられているが、折しも米国では新グラス・スティーガル法を復活させ、金融システムの安定と安全を強化し、米国民の生活を守るための規制を強化しようとする動きが強まっている。(※9)一方で、投機的な活動も、健全な市場及び価格調整には欠かせない存在であり、その活動を規制することによる不利益も全くないわけではない。

 よって、「TPPって何?」は、健全な市場形成に決定的に欠けている情報の非公開性を改善するために、資源・穀物・エネルギーに関する取引の内容を公開し、TPP協定交渉において最も利益を受ける企業の社会的責任の一端を明確化することを要求する。

※8 米国における金融制度改革法の概要(野々口秀樹・武田洋子/日本銀行調査月報2000年1月号掲載論文)

http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2000/data/ron0001a.pdf

※9 エリザベス・ウォレン米国上院議員による超党派による21世紀型グラス・スティーガル法に関する報告記事

http://www.warren.senate.gov/?p=press_release&id=178
TPPって何?発
全国一斉ビラ配り&TPP反対の意思を表明しよう!企画ユニフォームTシャツ販売中。
お求めはこちらから